リスベート・ツヴェルガー 絵/イディス・ネズビット 作
猪熊葉子 訳
定価:本体1,600円(税別)
34×21cm/24ページ/オールカラー
全国学校図書館協議会選定図書
日本図書館協会選定図書
"竜"なんておとぎ話のつくりごと、と思っているでしょう?ところが、ある日、国じゅうにみどり色の体をして、半透明の翼を持った竜が大量発生したのです。たとえ小さくてもちゃんと火を吐くし、大きいのときたら総理大臣を食べたり、新聞社の編集長をさらっていったり、もう国じゅうが大騒ぎ。そこで、ハリーとエフィの兄妹が、竜退治に乗り出します。
そもそも、この事件は、エフィの目になにやらごみがはいったことからはじまりました。目は、とてもいたみました。まるで赤い火花が目にはいったみたいに思われたのですが、おかしなことに、その火花には、はえみたいに足があり、はねがついていたのです。
(中略)
「こいつはおどろいた。」おとうさんはいいました。
「まったくおどろいたな! 四本の足は、かなりよく発達しとる。それに長い尾状附属肢か。とかげにそっくりな足ゆびが五本、長さはふぞろいだ。とかげに似ておるが、翼のごときものがみとめられる。」
おとうさんの目のまえで、ひまし油のなかの生き物は、ちょっとのたくりました。おとうさんはつづけました。
お役所では、十時から二時まで、人々が役所にもってきたりゅうをしまつすることにしました。そして、週日には役所のまえに、りゅうの死がいをのせた、さまざまな大きさの荷車が、ずらりと長い列をつくって、順番をまっていました。
男の子たちは、手押し車にりゅうをのせてはこんできました。そして学校の帰り道に、子どもたちは、ランドセルだの、ハンケチづつみだののなかにいれてきた小さなりゅうを、役所において帰りました。
(中略)
こうやって、みんながりゅう退治にせいをだしているというのに、りゅうのかずはいっこうにへりませんでした。店ではりゅうとり薬だの、りゅう消毒せっけんだの、りゅうよけカーテンだのが売りだされました。こうやって人々は、できるかぎりの手をつくしました。