2022.07.06 2023.06.21更新 社内報制作の基礎
意外と知られていない製版・印刷・製本の工程。社内報づくりの一貫として大まかな流れを押さえておきましょう。
社内報制作のお仕事は「校了!」となると、あとは色の確認(色校)を済ませて完成を楽しみに待つだけ、というケースがほとんどです。とはいえ、社内報担当者が「校了= これで印刷を進めてOK!」と確認したデータは、その後、どのような工程を流れ、冊子として最終的にあなたの手元に届くのでしょうか。
大まかには、製版→印刷→製本という3つの工程があります。製版というのは、いわばハンコの型(版)をつくるようなもの。社内報担当者が校了まで行ってきた一連の作業は、精密な型(版)をつくるためとも言えます。校正も正しい版をつくり上げるための作業なのです。実際に印刷機に取り付ける版を刷版と言います。刷版は、校了となったデータをアルミの板に焼き付けて製作するのが一般的です。
完成した刷版は、製版部門から印刷部門に引き渡します。印刷部門で8または16ページ単位で刷り上がった大きな用紙は、その後、製本部門でページのブロックごとに折り畳んでとじられ、余分なところを裁断して冊子の形になります(とじ方によって一部、方法が違います)。
デザイナーに素材を預けるのと同様、校了した社内報のデータを印刷所に渡すことも「入稿」と言います。
入稿後、色校正を印刷会社に出してもらったら、デザインや写真の色を確認しましょう。色校正にもさまざまな手法がありますが、用紙や印刷手法などを含め、もっとも完成品に近い状態で色味を確認することができます。
意外と見落としがちな点ですが、社内報に使用する用紙によっても印刷物の色味が異なってきます。社内報では一般的にコート紙やマットコート紙と呼ばれる用紙が使用されますが、手触りが良く少し温かみのある色となる嵩高紙(かさだかし)など、紙の種類もさまざま。社内報をリニューアルする際や雰囲気を変えたいときは、用紙についても一度検討してみると良いかもしれません。
社内報でよく用いられるオフセット印刷という手法の場合、入稿されたデータから「刷版(さっぱん)」と呼ばれる版をつくります。ハンコの型をつくるようなものですね。
準備できた刷版を使用して、色を次々と紙に刷っていきます。
カラーの社内報の場合、4色のインクを使用して、黒色(K)、青色(C)、赤色(M)、黄色(Y)の順に紙に色を重ねていきます。この4色それぞれの濃度によって色味が変わってくるので、熟練スタッフが印刷機を実際に動かしながら、色校正をもとに正確な色を再現します。
印刷所で刷り上がったものは原則、1枚に表と裏で16ページ分が印刷された大きな用紙です。それを折って、とじていきます。手元にある紙を使って、刷り上がった用紙がどう折られていくか体感してみましょう。
冊子の真ん中のページを針金でとじます。ページ数の少ない雑誌などに多く見られます。社内報でもこの中とじが採用されることが多いです。背表紙がありません。
粘着力を高めるため、折丁の背に切れ目が入っているのが特徴。表紙をグルッと巻いて接着剤で固めます。
折丁の背を切り落とし、糸や針金を使わずに接着剤で固めます。完成冊子は、ノドの部分までいっぱいに広がります。
社内報は校了後もさまざまな工程を経て、実際の冊子となります。今回ご紹介した内容は一般的なものですが、当社の生産拠点「ちとせBASE」での実際の制作の様子も「印刷・製本工場に潜入!」の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
太平社では社内報の企画・制作だけでなく、印刷・製本・発送の工程にも一貫で対応しています。ご相談ごとがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
社内報担当者が冊子のでき上がる工程に携わることは少ないですが、案外、奥深いものつくりの世界が広がっています。紙で社内報を発行しているならば、ぜひ興味をもって自社の社内報のつくりにも注目してみてください!