最先端の産業技術のすばらしさ、モノ作りの楽しさの魅力を、精緻なイラストとわかりやすい文章で解説する"人と技術のスケッチブックシリーズ"第1弾。ボーイング社の企画協力のもとにシアトル工場を徹底取材。日本やアメリカをはじめとする世界の知恵が結集した、21世紀ジェットB777の開発から製造、就航までを、携わる多くの人々の姿とともに描いています。
この本の内容
01.プロローグ その先へ飛びたい
02.基本構想 夢にかたちを
03.構造計画 翼のデザイン
04.製造計画 作り方を作る
05.基本設計 使う人と考える
06.細部設計 初フライトは電子の世界
07.モデリング 手作りの試験飛行
08.発注計画 世界の知恵を集めて
09.操作系設計 頭脳を作る
10.素材選択 先端技術をまとって
11.成形技術 理想のボディを
12.製造技術 たかがリベット、されどリベット
13.部品製造 手作りのドア
14.機体製造 一番大事な翼の根元
15.エンジン 製造飛行機の心臓
16.エンジンテスト もし鳥が飛び込んだら
17.集荷搬送 運ぶことも作ることも
18.胴体組立 かたちのはじまり
19.翼胴組立 部品たちの出会い
20.組立技術 真夜中の天井クレーン
21.最終組立 ガリバーの工場で
22.エンジン搭載 もう一つのエンジン
23.地上強度試験 壊すことでわかること
24.フライトテスト トンデミル、とんでみる
25.塗装 旅立ちに向けて
26.パイロット訓練 最後にひとも作る
27.出荷 さらば我が子よ
28.就航 吹き込まれる命
29.メンテナンス 作ることは終わらない
30.エピローグ 飛行機の墓場に立って
「9.操縦系設計 頭脳を作る」
人間優先の思想は、その装置設計にも活かされました。あらゆる光の状態においても見やすさを考えた液晶表示や、背の高さにかかわらず読み取りが可能な計器の曲面ディスプレイなど、500人以上の技術者たちがその設計評価を行い、飛行機の頭脳である操縦システムが形になったのです。
「21.最終組立 ガリバーの工場で」
遠くから見ると、そこにあるのは飛行機だけです。しかし、目を凝らして見ると、たくさんの作業用カートや自転車が走り、多くの作業員たちが、ある者は飛行機と対峙しながら、ある者はコンピュータを見つめながら、立ち働いていることがわかります。その風景は、まるでガリバーと小人たちの工場です。