"人と技術のスケッチブックシリーズ"第2弾。20世紀最後の巨大プロジェクト「東京湾アクアライン」の計画から着工・完成までを、建設に携わった人たちの取材をもとに、ダイナミックでリアルなイラストとわかりやすい文章で構成。
約10kmの海底トンネルを掘り抜いた世界最大口径14.14mのシールドマシン、東京ドームとほぼ同面積の島「川崎人工島」など、世界に誇る最先端の技術を見ることができます。
この本の内容
01.プロローグ 海の国の選択
02.設計・計画 夢を見た人々
03.地盤改良 まずはヘドロをかたくする
04.川崎人工島1:地中連続壁 海にしずめた巨大なたらい
05.川崎人工島2:堀削と内部ブロックの設置 海の底が見えた!
06.木更津人工島 海と空の間に
07.シールドマシン建造 海の空の間に
08.トンネル工事1:開始 氷のなかの発進
09.トンネル工事2:セグメントの組み立て補給 掘ることは運ぶこと
10.トンネル工事3:二次覆工 トンネルのなかのトンネル
11.橋梁工事 波ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ
12.トンネル工事4:地中接合 海の下の出会い
13.完成、維持、メンテナンス 開通!アクアライン
14.未来技術 技術はさらに夢を見る
15.エピローグ:未来 そしてトンネルをぬけた未来
「5.川崎人工島2:掘削と内部ブロックの設置 海の底が見えた!」
巨大なたらいを海中に築き、海底をさらに掘削する。掘り出した大量の土は、赤潮を生む海底のくぼみのうめ立てに使われ、環境対策としても利用されました。しかし、おそれていた事態が起こってしまいました。たらいの底の一部から海水がもれ出してきたのです。作業を一時中断して、水を止める対策がなされました。はじめに海水が注ぎこまれました。内側から水圧をかけることによって、外側からの水の流れを止めたのです。セメントで地盤をかためて、再びポンプで排水。そうして、ようやく川崎人工島の底がその姿をあらわしました。東京湾の海底がはじめて陽の光にさらされた世紀の瞬間でした。
「7.シールドマシン建造 巨大モグラ誕生」
世界でいちばん大きくて長いトンネルを掘るためには、世界でいちばん大きく、そして丈夫なモグラ、いわゆる「シールドマシン」を作らなければなりません。東京湾横断道路では、全部で8台のシールドマシンが活躍しました。早く、安全に、そして確実に堀りすすみながら、同時にコンクリートのブロックでトンネル内部をかためていく最新鋭のシールドマシン。それらは、日本を代表する建設機械メーカーが最新の技術をきそい合って完成させたのです。