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社内報リニューアル 制作会社の選び方・活かし方

2023.09.12 社内報制作の基礎

社内報リニューアル 制作会社の選び方・活かし方(前編)

社内報のリニューアルを成功させるためには、どう進めたらいいの? 社内報担当者であれば誰もが抱くお悩みではないでしょうか。長年にわたり、さまざまな企業からリニューアルの相談を受け、実際に担当者の方と一緒に多くのリニューアルを実行してきた太平社だからこそ語れる、リニューアル成功と失敗の舞台裏についてまとめてみたいと思います。社内報に限らず、さまざまな広報ツールの制作や制作会社選びにもきっと役立つはずです。

社内報を本当はどうしたいのか

社内報リニューアルのご相談を頂く時点で、課題が明確になっているケースはそれほど多くありません。さまざまな事情が背景にあり、複数の課題が絡み合った状態であることがほとんど。だからこそ、リニューアルに向けて何から手をつけたらいいのかお困りのケースが多いのだと思います。長年ご相談をお聞きしていて感じる、よくある課題感は次のようなものです。

社内報リニューアル時によくある課題

  • デザインや企画がマンネリ気味なので刷新したい
  • これまでの制作方法や体制を見直し、効率化を図りたい
  • 社内報担当者が新任したので手厚いフォローをお願いしたい
  • 社内報の紙版、WEB版、イントラネットなど整理して運用したい
  • 制作費の見直しや適正化が迫られている

日々の社内報制作においてこのような課題が渦巻いている中、「本当はどうしたいのか」を整理していくことが、まずは必要です。課題をよく見てみると、「社内報担当者が感じる課題」と「上長など責任者が感じる課題」が混在していることがわかります。

それぞれの立場から感じる課題感を、客観的な視点も踏まえて整理するために、制作会社にも課題整理の場に同席してもらうことをお勧めします。多くの社内報制作を見てきたプロフェッショナルであれば、他社の制作方法や事例を示したり、トレンドなどの情報を共有したりしながら、「本当はどうしたいのか」チームとして共通認識を形成するためのサポートをしてくれるでしょう。

この課題整理を社内メンバーだけでやろうとするとなかなか難しいのが現実です。立場の違いから、「それは頑張ってやってほしい」「そのレベルを目指すなら体制や予算を考えてほしい」「これって普通はどうなの?」などと煮詰まった結果、「とりあえずすべて盛り込んだ漠然とした理想」だけが残ることが多いのです。そこで、社内報制作のプロが、制作方法や役割分担、費用相場、デザインサンプルなどを示しながら、みんなで課題を整理し、現実的な解決方法を探っていくことが重要です。

担当者の方だけで抱え込まないで、相談できる制作会社に声を掛け、社内報制作のプロの力を借りながら、「リニューアルで社内報を本当はどうしたいのか」を整理していきましょう。

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読者が社内報をどう思っているか知っていますか?

リニューアルの際に絶対見落としてはいけない視点は、読者の視点です。当たり前だと思われるかもしれませんが、意外と社内報制作においては抜け落ちていることが多いように感じます。市販の雑誌のように、販売部数によって明確に読者の反応が分かるわけではないのが社内報。社内報制作の現場においても、取材先部署や経営層など発行側の要望を考慮し過ぎて、「読者が読みたくなる気分」や「読みやすい適切な情報量・誌面展開」などが、後回しにされがちではないでしょうか?

社内報に掲載している読者アンケートに、手間を掛けてまで回答してくれるのは、社内報にとても協力的な社員に偏っているかもしれません。「従業員満足度調査」などの一部に社内報に関する質問項目があり、さらに記名式だとしたら、どれくらいの社員が本音を書いてくれているでしょうか。アンケート結果は定量的な推移が分かる大切な情報であることは確かです。しかし、それだけを「読者の反応」として捉えるのは、少し不安もあるはず。そもそも、社内報リニューアルによって、新たな読者として獲得したいのは、これまで社内報への関心があまり高くなかった層であることが多いでしょう。

では、どうしたらそうしたターゲット層の本音を知ることができるでしょうか。お勧めなのは、取材の終わりにオフレコで聞いてみることです。もっと読んでほしいコアターゲット層が、地方拠点の製造現場で働く30歳代前後の社員だとすると、そうした社員に取材する機会に、インタビュー後の撮影準備の待ち時間などに立ち話程度に聞いてみるのです。

  • 社内報に自分が載るのってどんな気分ですか?
  • 普段、社内報って読んだりしますか?
  • 周りの仲間の方って読んだりしてますか?
  • 読む時間ってあります? どんな時に読んでます?
  • 読んだことのあるのは、どんな記事?
  • あまり読む気にならない理由って何でしょう?
  • どんな記事だと読んでみようと思いますか?

ここで本音を聞き出すポイントは、社内報担当者を交えないで一対一で聞くということです。一生懸命、毎号社内報を制作してくれている担当者に「普段読んでない」「なぜ読まないか」などのネガティブな意見は聞かれたくないものです。社外の制作会社だからこそ、言えることもあると思います。社内報用の取材インタビューで少し心が通い合った後に、「個人的に気になって、聞いてみたくて」というスタンスでフランクに聞くようにしています。

このような普段の何気ないやりとりの中で、読者の本音を聞きやすい人が本音を収集しておくのがお勧めですが、それもなかなか難しい場合もあるでしょう。そんな時は、リニューアルに向けて、コアターゲットにあたる社員をピックアップして、正面からヒアリングするという手法もあります。

その際も、社内報担当者が直接聞くのではなく、外部の制作会社にヒアリングしてもらうことをお勧めしています。「社員の皆さんがもっと読みたくなる社内報へのリニューアルに向けて、現状や本音を集めているので、遠慮なく本当の気持ちを聞かせてほしい」というスタンスをしっかり示しながら。

このように収集した「読者の視点」を「社内報担当者が感じる課題」、「上長など責任者が感じる課題」と共にメンバー間で共有しながら、リニューアルで社内報をどうしていくかを整理していく。これができるかどうかが、リニューアルの成功と失敗のまず最初の分かれ道だと思います。

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周囲にふりまわされない編集方針づくりの絶好の機会

「これまで通りの作り方でいいのかな?」「もっと効率的により良い社内報をつくる方法があるのでは?」「他社はどう作ってるの?」など、作り方の見直しも、社内報リニューアルの大きな動機となっているのではないでしょうか。

実は、この「制作方法」と「社内報誌面の品質」は直結しています。制作会社からどんなに良い企画やセンスあるデザインが提案されても、制作方法がそれにマッチしていないと、理想的な社内報は実現できません。ましてや、継続して制作していくことは困難でしょう。リニューアルでお悩みの社内報担当者から、こんな相談を頂くことがあります。

  • 協力部署に理解が得られず、以前の誌面から変えられない
  • どうしても全部掲載しなければいけないので小さく入れることに
  • 上長からの指示により、結局、誌面デザインが刷新できない
  • 指定の原稿文字数を大幅に超えているが執筆者に修正を頼みにくい
  • 画像や図表が特になく、文字だらけになってしまう
  • 写真が証明写真のようなものばかりでいいデザインになる気がしない
  • デザインにどう修正指示を入れたらよいかわからない

リニューアルの際に、制作方法や役割分担などを整理しておかないと、こうした壁にぶつかることが多いでしょう。では、リニューアル時に決めておくべきこととは、どんなものでしょうか。

  • 社内コミュニケーションツールの中の社内報の役割
  • 社員全員へ届ける社内報だが、その中のコアターゲットの設定
  • コアターゲットが読みたくなる誌面にするためのデザイントーン見本
  • 見出しや本文、キャプションの書体やサイズ
  • その誌面を実現するための編集権の所在

社内報を制作するうえで、社内協力者などからさまざまな要望がくるのは当然です。それに対して、すべて従ってしまうと、1冊を通したまとまりがなくなり、誌面リニューアルとはほど遠いものになってしまいます。しっかりとルールを持っていれば、周囲の理解も得やすくなるでしょう。

リニューアルを機に、社内報制作のルールを決めることで、周囲からのさまざまな要望に振り回されず、より良い社内報を落ち着いてつくることができるようになるはずです。これも社内報リニューアルの大きな効用といえます。

さらに、こうしてより良いリニューアル誌面を作って、社員に周知されると、そのクオリティを損ないかねない個人的な要望も徐々に減っていくでしょう。社内から「リニューアルした素敵な社内報にぜひ載せてほしい。誌面構成やデザインはお任せします」と言われるようになると、リニューアルによる制作効率化と品質向上の両輪がうまく回り出したといえるかもしれません。

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最も見るべきはコンサルタントやデザイナーの力量ではなく

先に述べたように、社内報制作の課題を整理する、いわばコンサルタント的な役割は初期段階で一定程度必要です。一方で、机上の議論だけに留まらず、それを実行するために具体的な制作にまでしっかりコミットしてもらうことも大切です。また、実際に誌面をデザインするデザイナーの力量も気になるところ。しかし、デザインカンプの好みによる多数決や、決裁者の判断で、リニューアルを進めるのは少し危険です。実は、社内報のデザインカンプだけで適切な評価をするのは、予想以上に難しいものです。

こんな点でデザインの印象は左右されがち

  • 使われているアタリ写真の印象
  • 写真のサイズなどによるインパクト
  • すっきりして洗練された余白バランス
  • 適切な本文文字量による整ったレイアウト
  • レイアウトにきれいに収まった見出し

印象の良いカンプデザインをつくったデザイナーに依頼し、これまで同様に写真や原稿を準備してリニューアル号をデザインしたとしても、カンプデザインの時のようなクオリティにはならないでしょう。つまり、デザインする前に、写真や原稿、図表などの掲載要素をイメージ通りにしっかり準備できないと、デザイナーの力量だけでは限界があるのです。特に、プロではない方が写真を撮影したり、原稿を書いたりすることの多い社内報の場合、デザイン以前の「編集者の力量」が大きくクオリティを左右します。

誌面制作における編集者の役割

  • 企画に沿って、誌面構成を描く
  • どんな誌面トーンにしたいかサンプルをリサーチする
  • どんな写真を準備するかイメージを決める
  • 協力者にイメージに沿った写真撮影を依頼する
  • 適切な本文文字数や見出し文字数を決め依頼する
  • 協力者と相談のうえ、必要な資料や図表を決め準備する

このような編集作業があってこそ、イメージに沿った誌面デザインが可能になります。つまり、実作業として毎号継続して編集をサポートしてくれる編集者こそが、実はリニューアルの成功と失敗を分けると言っても過言ではないのです。

制作会社と相談する際は、リニューアルに向けて、お互いの役割分担を改めて整理してみましょう。特に、デザイン前の編集作業へのテコ入れ、制作会社によるサポートが必要なケースが多く見られます。

間違うともっと苦労する?! 制作会社選定のコツ

社内報リニューアルの際には、これまで一緒に制作してきた制作会社にまず相談し、現状の課題や目指す方向を整理していくことをお勧めします。一緒に社内報制作に取り組んできた制作会社こそが、もっとも制作の実態を理解してくれている存在です。絡み合った社内事情や企業文化などを踏まえて、どのように解決していくかはケースバイケース。制作会社を変えただけでは、なかなかうまくいかないというのが正直なところです。

ただ、いろんな事情により、制作会社を新たに選定するケースもあるでしょう。選定のポイントは、直面する優先課題によって変わってきますが、これまでの内容も踏まえて、次のポイントもぜひ参考にしてみてください。

社内報制作会社選定のポイント

  • 編集をサポートしてくれるプロ編集者が付いてくれるか
  • 「コンサルタント」と称する営業担当が編集を兼業していないか
  • コンサル以降の実制作段階までしっかりコミットしてくれるか
  • 社内報制作の実績や改善スキームを持っているか
  • 印刷製本やWEB制作などの機能も社内に有しているか

はじめてお付き合いする制作会社に対しては、どうしても大きな期待感を抱きがちです。冷静な目を持って、自社にマッチするパートナーを選ぶようにしましょう。継続して制作していく社内報ですので、ここでミスマッチが起きてしまうと、これまで以上に苦労することにもなりかねません。ぜひ自社に合う制作会社とより良い社内報リニューアルが実現できるよう、今回の記事を参考にしてみてください。

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