2024.06.26 社内報制作の基礎
社内報や会社案内などの紙物の広報ツールを制作する際、制作会社の各職種の方から具体的にどんなサポートを頂けるのか、イメージできず不安があります。「制作体制を比較して制作会社を選びたい」「制作メンバーの具体的な役割分担を知りたい」「どんなことまでお願いできるのか知りたい」と思っています。基本的なことで、いまさら聞きにくいのですが、ここで教えていただけないでしょうか。
広報ツール制作を依頼される際、制作体制やメンバーの役割分担についての確認は、とても重要なポイントです。一方で、「職種ごとの役割について知っているつもりだったけど、本当にこの認識で合っているの?」と不安をお持ちの方も多いようです。そこで今回は、いまさら聞きにくい各職種の役割分担について、まとめてみました。
制作会社によっては、「編集ディレクターや校正者がおらず、営業が兼務で対応している」といったケースもあるようですが、ここでは太平社の制作体制をベースに解説します。この機会に一度おさらいしておくと、業務を一人で抱え込まずに、制作会社内で分担しもらうことで、安心して進められるようになるかもしれません。
お客さまとの打合せの中でヒアリングを行い、要望や課題を具体的に定義し、整理していきます。課題は「施策の内容」や「クリエイティブ品質」に関することから、「制作フロー」「制作中のコミュニケーション」に及ぶことまで多岐にわたります。これまで蓄積してきた経験やノウハウを生かして、制作手法や制作事例を提示しながら、具体的に課題を設定し、関係者間で共通認識を形成します。
設定した課題や目標を達成するための方法を提案書にまとめます。コンセプトや方向性を言語化することで、プロジェクトに関わるメンバー間で認識共有を図ります。言葉だけでは共有しにくいデザイントーンや完成イメージについては、デザインサンプルやレイアウトラフ、撮影イメージなどを準備し、方向性をすり合わせます。
プロジェクトに最適なスタッフやクリエイターを選定し、チームを編成します。広報ツール制作においては、デザイナー、校正者、フォトグラファー、イラストレーター、ライター、翻訳者、動画クリエイターなどを編成することが一般的です。クリエイティブの方向性や予算感、制作過程で必要なやりとりなどを考慮し、プロジェクトに最適なメンバーをコーディネートすることが、スムーズな制作進行と期待を超えるアウトプットには不可欠です。
最初に設定したコンセプトや方向性に沿って、プロジェクト全体が進行するよう、チームメンバーと円滑なコミュニケーションをとりながら監督します。デザイナーが作成したデザインや、ライターが執筆した原稿をチェックしたり、フォトグラファーと一緒に最適な写真を準備したり。一緒に取材や撮影に同行し、現場で具体的なディレクションも行います。最終的な成果物の品質を保証し、お客さまの期待を超えるものを目指します。
制作過程において発生するお客さまからの要望や相談などのフィードバックを受け取り、適切に対応します。フィードバックの内容によっては、当初設定したコンセプトや方向性に立ち返り、お客さまや制作メンバーとコミュニケーションを密にとりながら、制作物の品質と一貫性を保てるように丁寧に対応します。
プロジェクトスタートから納品までのスケジュール作成も大切な役割です。それぞれの工程にどれくらいの日数を確保するのが妥当かお客さまや制作メンバーと調整しながら、納期に間に合うように設計します。プロジェクト進行中は、各タスクの進捗状況をモニタリングし、必要に応じて調整を行います。
納品後は、お客さまや制作メンバーとプロジェクトを振り返ったり、読者のフィードバックや効果測定などを収集したりして、今後の改善に役立てます。当初設定した課題がどれくらい解決したか、設定したコンセプトや方向性に沿ってプロジェクトは進行できたかなどを共有することで、PDCAを回します。
お客さまから受け取った原稿やライターが執筆した原稿を確認し、文章中の誤字や脱字を見つけて修正します。これは最も基本的な校正者の役割と言えます。
文法的な誤りを見つけて修正します。適切な主語と述語の一致、時制の統一、句読点の使い方などを確認します。また、「ですます調」と「である調」が混在していないかなども確認します。
用語や表現の統一を行います。同じ文章内で異なる表記が使われていないかを確認し、統一された表記に修正します。基準となる「校正ハンドブック」や企業独自の表記ルール表に沿って統一します。
読者が理解しやすいように文章を改善します。冗長な部分を削除したり、明確で簡潔な表現に変更したりします。
お客さまやライターに対して校正結果をフィードバックし、改善点を伝えることもあります。校正によって出たお客さまへの疑問出しは、赤字と区別するために、鉛筆や黒字で記入することが一般的です。
お客さまから頂いた修正の指示(赤字)に沿って、正しく修正されているかを確認します。デザイナーやDTPオペレーターなどの修正作業者による修正漏れや修正ミスを発見した際には、再度修正作業者へ修正を依頼し、正しく修正が反映されていることを確認後にお客さまへ提出することになります。
校正者と比べ、校閲者の役割には、文章中の事実、データ、引用、統計情報などの正確性を確認するために、外部の信頼できる情報源と照らし合わせる作業が含まれます。また、校閲者は文章全体を通して、一貫した論理の流れや表現が保たれているかもチェックします。校閲者も校正者のように誤字脱字や文法の誤りを修正しますが、校閲者のチェックはより深いレベルで行われます。表現や語句の選び方が特定の読者層に対して誤解を招かないか、文化的・社会的に適切であるかを確認し、差別的な表現を避けることなども校閲者の役割には含まれます。
編集ディレクターから共有されたプロジェクトのテーマやコンセプト、方向性を理解することから始まります。それに基づいたデザインコンセプトを策定した上で、一貫したビジュアルスタイルやトーンを設定し、制作物全体のデザインに統一感を持たせます。書体の選定や文字サイズ、行間、段落間隔などを調整し、読みやすさと視覚的な魅力を両立させます。
レイアウトに必要な写真やイラスト、図表などのグラフィック素材を制作します。写真撮影前には、デザイン上どのような写真を撮影すべきかのアイデアを出したり、撮影現場に立ち会ったりして、フォトグラファーとイメージをすり合わせることも。撮影済みのレンタルフォトをデザインに合わせてセレクトしたり、デザインにふさわしいイラストタッチのアイデアを編集ディレクターと出し合うこともあります。
編集ディレクターがお客さまとすり合わせたレイアウトラフを踏まえて、テキスト、画像、図表などの要素を効果的に配置し、視覚的にバランスの取れたページレイアウトを作成します。
デザインの仕上がりを編集ディレクターと共に確認し、コンテンツとデザインが調和するように調整します。お客さま確認後は、要望やフィードバックを反映しながらデザインを修正していきます。初校、再校など校正段階で入ってくるフィードバックを取り入れ、テキストの修正や写真の差し替えなど、必要な修正を反映します。
校了後は、印刷工程に適したフォーマットで最終デザインデータを準備します。印刷物の色が正確に再現されるようカラーマネジメントも行います。
デザイナーとは異なる役割を持ち、レイアウトを作成するのがDTPオペレーターです。デザイナーが考案したコンセプトに基づき、文字組み、画像の配置などを行い、具体的なレイアウトを作成します。 デザイナーは、クリエイティブなビジュアルコンセプトを考案し、視覚的に魅力的なデザインを制作することに重点を置いているのに対して、DTPオペレーターは、デザインコンセプトを具体的な印刷物などに落とし込み、技術的な側面での精密な作業を担当するため、技術的なスキルと正確さが求められます。 修正対応や印刷準備など、デザイナーと役割が重複する部分もあります。ちなみにDTPとは、Desk Top Publishingの略で、パソコンでデータの作成・編集・加工を行い、データを出力して印刷物をつくることを指します。
編集ディレクターから共有されたプロジェクト全体や該当企画のテーマ、コンセプト、方向性を理解することから始まります。記事を書く前に、発行元企業や事業内容、企画テーマに関する詳細なリサーチを行います。お客さまから支給された関連資料や信頼できる情報源を探し、事実やデータを集めます。
記事の構成や主要なポイントを計画し、読者に分かりやすい形で情報を伝える方法を編集ディレクターと一緒に考えます。インタビューや対談、鼎談、座談会などの取材を実施する際には、取材対象者の事前情報を踏まえて、質問案や取材時間、当日の段取りなどを編集ディレクターと一緒に準備します。
必要に応じて、専門家や関係者にインタビューを行い、記事のための情報や引用を集めます。取材対象者に事前に共有した質問項目を踏まえて、インタビューを実施。取材対象者が話ししやすいような雰囲気をつくりながら、その方にしか語れない話や情報をいかに引き出せるかがライターの腕の見せどころです。インタビューの場には、編集ディレクターも参加し、一緒に進めることもあります。
リサーチや取材・インタビューで収集した情報をもとに、読者にとって興味深く、分かりやすい文体で原稿を執筆します。記事のトーンやスタイルは、掲載媒体の読者ターゲットや編集方針に合わせます。読者の興味を引きつけるために、キャッチーな見出しやリード文も作成します。
原稿を書き終えたら、編集ディレクターと一緒に記事を確認し、修正しながら原稿を仕上げていきます。さらにお客さまからのフィードバックを受け取ったら、それに基づいて記事を修正します。
お客さまが何を求めているのかを編集ディレクターと共に詳しく聞き出し、最適な解決策や制作方法、印刷手法、素材などを提案します。お客さまとの関係を維持・強化し、安心してご相談いただけるよう、継続的な信頼関係を構築します。
プロジェクトの予算を見積もり、お客さまに提案します。お客さまと価格交渉を行い、双方にとって納得のいく価格を設定します。
プロジェクトが予算内で完了するよう、制作進行や作業工数について状況を見ながら調整し、コストを管理します。場合によっては、状況に合わせた再見積もりを作成するなどして、コストの見直しや進め方の調整を行い、プロジェクトを円滑に進行させます。
プロジェクト全体や制作物の品質がお客さまの要求を満たしているかをチェックします。品質向上のための改善点を見つけ、お客さまや関係者と共有し、品質向上に向けた改善活動を実施します。
いかがでしたか? 長年にわたり広報ツール制作のお手伝いをしてきた太平社の制作体制をベースに解説してみました。今回は、紙物の制作におけるケースをご紹介しましたが、動画やWEBサイトなどの制作においては、また違った制作体制でプロフェッショナルによるサポートを行っています。
今回の記事では伝えきれなかったサポート内容のより詳細な点についてお知りになりたい方は、お気軽にお問い合わせください。今回の記事と合わせて、制作会社選定の際の参考になれば幸いです。
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